せっかくこだわりの注文住宅を建てたのに、「思ったよりも固定資産税が高くてびっくりした…」そんな声を聞くことがあります。建物の構造や設備によっては、税額が想定以上に増えることがあるのです。特に、設備選びの段階では税金への影響まで気にかける方は少ないかもしれません。しかし、住んでから「こんなにかかるとは」と後悔しないためには、初期段階から税金の仕組みを知り、設備選びの参考にすることが大切です。
この記事では、固定資産税が高くなる原因と、税額が上がりやすい代表的な住宅設備を詳しくご紹介します。また、後半では節税のために押さえておきたいポイントについても解説します。住宅購入や新築を検討中の方にとって、長期的なコスト管理に役立つ内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
固定資産税が高くなる仕組みとは?
固定資産税は、土地や建物などの不動産に対して課される地方税で、毎年1月1日時点の所有者に対して課税されます。建物にかかる固定資産税は、その建物を再度建てるとしたらいくらかかるかという「再建築価格」をもとに、経年劣化などを加味して評価額が算出されます。
高価な設備や特殊な構造がある場合、それに応じて再建築価格が高く見積もられ、結果として評価額が上がり、固定資産税の負担も大きくなってしまうのです。間取りやデザインだけでなく、設備や仕上げの内容も税額に影響を与えることを覚えておきましょう。
新築住宅は3年間の軽減措置があるが…
新築住宅には、建物部分の固定資産税が一定期間「半額」になる軽減措置があります。
- 一般的な木造住宅:3年間
- 3階建以上・耐火構造の住宅:5年間
- 長期優良住宅に認定された場合:最大7年間
ただし、軽減対象は床面積120㎡までとなっており、それを超える部分には通常通りの課税が適用されます。軽減措置が終了すると、4年目(または6〜8年目)から一気に税額が上がるため、長期的な視点で負担を見積もっておくことが重要です。
固定資産税が上がる可能性のある設備とは?
家づくりでは「便利さ」や「デザイン性」を重視したくなりますが、それに比例して税金が上がる可能性もあるため注意が必要です。以下に、評価額が高くなりやすい主な設備を紹介します。
床面積の広さ
広々としたリビングや吹き抜けのある空間は、開放感がありとても魅力的に感じられます。しかし、固定資産税の算出においては床面積が大きいほど建物の評価額が高くなるため、税負担が重くなる傾向にあります。特に二世帯住宅やワンフロアで広い平屋住宅などを検討している場合には、暮らしやすさと税額のバランスをよく検討し、将来の維持費まで見据えて計画することが大切です。
高級な外壁・内装材
レンガ・タイルの外壁、無垢材のフローリング、大理石を用いたキッチンカウンターや洗面台などは、意匠性や高級感を高めるために人気のある素材ですが、一般的な外壁材や床材と比べて施工費が高くなる傾向があります。固定資産税の評価では、これらの高級素材は建物の再建築価格を引き上げる要因となり、結果として評価額が高くなることで税額の上昇につながります。デザインや素材にこだわる際は、初期コストだけでなく、税金を含めた長期的な費用も意識することが大切です。
車庫・物置・ガレージ
基礎がある車庫や物置は、建築基準法上の「建築物」として扱われるため、建物部分と同様に固定資産税の課税対象となります。具体的には、コンクリート基礎の上に設置されたガレージや鉄骨・木造のしっかりとした構造を持つ物置が該当します。見た目が簡素でも、基礎の有無や構造体の強度によって課税されるかどうかが判断されるため、設計段階で詳細を確認することが大切です。一方で、ブロックの上に乗せるだけの簡易な物置や、アンカー留め程度の簡易ガレージであれば、非課税となる可能性もあります。ただし、最終的な判断は自治体によって異なるため、設置前に市町村の固定資産税課に確認することをおすすめします。
屋根一体型の太陽光発電
屋根材と一体化している太陽光パネル、いわゆる“建材一体型太陽光発電システム”は、建物そのものの一部として評価されるため、固定資産税の課税対象となります。これは、パネルが屋根材の役割を兼ねていたり、構造的に建物に組み込まれている場合に該当します。一方、屋根の上に後から架台などで設置された「後付け型」の太陽光パネルは、通常は建物本体に含まれないため、課税対象外となることが多いです。ただし、自治体によって判断基準が異なるため、設置前に固定資産税課に相談して確認しておくことが大切です。
ホームエレベーター
バリアフリー設計の一環として注目を集めるホームエレベーターは、2階建て以上の住宅で高齢者の暮らしを支える便利な設備ですが、固定資産税の評価においては高額設備としてみなされ、建物全体の評価額を大きく押し上げる可能性があります。特に、昇降機本体に加え、専用のシャフト(昇降路)や機械室などが必要となるため、建築コストが高くなりやすく、それが再建築価格の上昇につながります。また、将来的なメンテナンス費用や修繕費もかかるため、税金を含むランニングコスト全体を踏まえたうえで、必要性をよく検討することが重要です。設置を希望する場合は、事前に住宅会社や自治体に相談し、評価対象となるかどうかを確認しておくと安心です。
薪ストーブ・暖炉
煙突を備えた暖炉や、床や壁に固定された薪ストーブは、建物に恒久的に組み込まれているとみなされるため、建築設備として評価対象となります。これにより建物の再建築価格が上がり、結果として固定資産税の評価額が増加する可能性があります。特に輸入品の暖炉や、デザイン性に優れた高級薪ストーブを設置した場合、その価格や施工費用が評価額に反映されやすくなります。雰囲気づくりやデザイン性を重視してこれらを導入する際には、単にインテリアとしての魅力だけでなく、維持管理の手間や設置費用、そして税金負担まで含めた総合的な視点で検討することが重要です。導入前に住宅会社や税理士に相談して、課税対象となるかどうかの確認を行うことをおすすめします。
床暖房
埋め込み型の床暖房は、フローリングや床下に熱源を組み込む形で設置されるため、建物本体と一体化していると判断され、固定資産税の評価対象となるケースが多くあります。これにより建物の再建築価格が上昇し、結果的に評価額が高くなることで税額が増える可能性があります。特に1階全体や複数の部屋にわたって広範囲に設置する場合は、その分評価額への影響も大きくなる傾向があります。快適な住環境をもたらす設備である一方、設置にかかる初期費用に加え、税金という形でもランニングコストが発生するため、家づくりの段階で十分な検討が求められます。
ビルトイン家具や特注設備
アイランドキッチンや造作棚、壁面収納など、建物と構造的に一体化している家具は、固定資産税の評価において建築設備とみなされる場合が多く、課税対象となります。特に特注で作られたサイズの収納や、壁や床に固定されたカウンター・棚などは、建物自体の再建築価格に加算されるため、評価額が高くなり、結果として税額が上がる要因になります。一方で、可動式で取り外し可能な家具は課税対象とされにくいため、設計段階で可変性のあるレイアウトにすることで税負担を抑える工夫も可能です。おしゃれさや使いやすさを重視しつつも、長期的な維持費や税金への影響も含めて慎重に選択することが大切です。
節税のために知っておきたい工夫
固定資産税は法律に基づいて評価額から算出されるため、大幅な減額を行うのは現実的に難しいのが実情です。しかし、設計や設備の選定、施工方法などを工夫することで、評価額の上昇を抑えたり、一部を課税対象外にすることで結果的に負担を軽減できる可能性があります。つまり、家づくりの段階から税制への理解を深めたうえで判断を行うことが、賢い節税の第一歩になるのです。
後付け可能な設備を選ぶ
太陽光パネルや暖房設備は、建物本体に固定されず、取り外しが可能な形で後付け設置することで、建築設備とはみなされず、課税対象外となるケースがあります。たとえば、屋根と一体化した太陽光パネルではなく、架台に乗せて後から設置するタイプであれば、評価額に影響しにくくなります。また、暖房設備も床暖房のように埋め込み型にせず、可搬式や壁掛け型の暖房機器を選択することで、課税対象外とされることがあります。ただし、自治体によって判断基準が異なるため、設置を検討する際には事前に確認しておくことが非常に重要です。
基礎の有無を確認する
物置やガレージについては、コンクリートなどの基礎がある場合、建築基準法上「建築物」として扱われ、建物と同様に固定資産税の課税対象になります。これは、基礎により恒久性があるとみなされるためであり、課税の対象から外すことは難しくなります。一方で、基礎を設けず、ブロックや簡易な架台の上に設置する形式であれば、移動可能性があると判断され、非課税となる可能性があります。設置場所の安定性や耐久性と税負担のバランスを考慮しながら、設計段階で仕様を選ぶことが重要です。また、評価の判断基準は自治体によって異なるため、事前に税務担当窓口に相談しておくと安心です。
本当に必要な設備かどうかを見極める
設備選びを行う際には、単に導入時の初期費用だけでなく、長期的にかかる維持費や定期的な修繕費、そして毎年の固定資産税などのランニングコストをトータルで考慮することが非常に大切です。たとえば、豪華なキッチンや大容量の造作収納などは一見便利に見えても、設置費だけでなく将来的な課税対象となる可能性があるため、家計への影響が長く続くことになります。こうした点を踏まえ、本当にその設備が生活に必要かどうか、家族構成やライフスタイルに合っているかをよく見極めて選択することが、将来的な経済的負担を軽減し、より安定した暮らしにつながるのです。
まとめ:将来を見据えた設備選びを
固定資産税は、一度建てたら毎年かかる費用であり、設備や仕様によって長期的な負担に大きな差が生まれます。目先のデザインや理想だけでなく、住み続ける中でのコストも含めた住宅計画を立てることが、後悔のない住まいづくりにつながります。
アイズホームでは、税金やランニングコストも見据えた家づくりをご提案しています。浜松市やその周辺で注文住宅をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
信頼関係が大切
家づくりには担当者との信頼関係がとても大切です!
性能が良い、デザインが良い、安いから、なんて理由ではなく、何十年先も付き合っていく住宅会社、担当者として見た時に「安心できるな」と思った会社を選びましょう!
あなたを理解し、良いことも悪いこともちゃんと伝えてくれる人。
我慢するばかりではなく、この人なら何とかしてくれると思える人。
そんな信頼できる住宅会社と担当者を探すことがとっても大切なのです。
株式会社アイズホーム
建築士とともにあなたに寄り添った家づくり
お問い合わせはこちら
https://is-h.jp/inquiry
アイズホームでは、そんなご家族様一人ひとりの想いに寄り添った家づくりをお手伝いしております。
浜松市で新築をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談くださいませ。